【10年ぶりに読み返してみた】海辺のカフカ 名言集

世界の万物はメタファーである

 

ぼくはまとめ本(本好きな人、あるいは著名人によって何十冊もの本が紹介されている本)が大好きです。理由は、読んだ方がいい本を探す手間が省けるから(笑)。先日も、ちょうどまとめ本を読み終わりました。

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題して「人間を守る読書」です。

 

その中に、村上春樹(一冊でなく作家そのもの)が紹介されているとともに 、昔読んだ本でも、時間が経って読むことに価値があることもある的なことが書かれていたので、実家に帰ったついでに持って帰って来てみました。

 

家にあった本は「海辺のカフカ」。

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ぼくはその本を読んだのはなんと10年以上も前で、

当時は大学生でした。

 

そのときは、感情移入は主人公である田村カフカ(15歳の少年)で、感想はエッチな描写が面白かっただけっていう(笑)。

 

時は移ろい、歳も立場も違う今になって読み返してみると、カフカ君は完全に物語の中のひとりの若者に変わり、代わりに星野さん(トラック運転手)の気持ちになって読み進めている自分がいました。

 

10年前は読み飛ばしていた小難しい文章も、よけることのできない大きな岩のようにぶつかってくることもしばしば。

せっかくなので「いい文章だなあ」と思った部分を記録してみることにしました。

 

海辺のカフカを読んだことのあるみなさんの、これから読むみなさんの

参考になればそれがなによりの幸せでございます。

 


第13章 大島さん
「人間はなにかに自分を付着させて生きていくものだよ」
「そうしないわけにはいかないんだ。君だって知らず知らずそうしているはずだ。ゲーテが言っているように、世界の万物はメタファーだ」

第17章 大島さん
「経験的なことを言うなら、人がなにかを強く求めるとき、それはまずやってこない。人がなにかを懸命に避けようとするとき、それは向こうから自然にやってくる。」

 

第15章 大島さん

「すべては想像力の問題なのだ。僕らの責任は想像力の中から始まる。イェーツが書いている。In dreams begin the responsibilities—まさにそのとおり。逆に言えば、想像力のないところに責任は生じないのかもしれない。このアイヒマンの例にみられるように」


第19章 大島さん
「英語にred herringという表現があります。興味深くはあるが、話の中心命題からは少し脇道に逸れたところにあるもののことです。赤いニシン。どうしてそんな言いかたをするのかまでは浅学にして知りませんが」
「正確に申し上げれば、アナロジーのすりかえです」
「アリストテレスはそれを、雄弁術にとってもっとも有効な方法のひとつであると述べています。そのような知的トリックは、古代アテネ市民のあいだでは日常的に楽しまれ、行使されていました。」

「田村カフカくん、僕らの人生にはもう後戻りができないというポイントがある。それからケースとしてはずっと少ないけれど、もうこれから先には進めないというポイントがある。そういうポイントが来たら、良いことであれ悪いことであれ、僕らはただ黙ってそれを受け入れるしかない。僕らはそんなふうに生きているんだ」

第20章 ハギタさん
「俺が言いたいのは、つまり相手がどんなものであれ、人がこうして生きている限り、まわりにあるものすべてのものとのあいだに自然に意味が生まれるということだ。いちばん大事なのはそれが自然かどうかっていうことなんだ。頭がいいとか悪いとかそういうことじゃないんだ。それを自分の目を使って見るか見ないか、それだけのことだよ」
「俺はべつに頭なんて良かねえよ。ただ俺には俺の考え方があるだけだ。だからみんなによくうっとうしがられる。あいつはすぐにややこしいことを言い出すってさ。自分の頭でものを考えようとすると、だいたい煙たがられるものなんだ」
「世界は日々変化しているんだよ、ナカタさん。毎日時間が来ると夜が明ける。でもそこにあるのは昨日と同じ世界ではない。そこにいるのは昨日のナカタさんではない。わかるかい?」

第21章 大島さん
「人はその欠点によってではなく、その美質によってより大きな悲劇の中にひきずりこまれていく。ソルォクレスの『オイディプス王』が顕著な例だ。オイディプス王の場合、怠惰とか愚純さによってではなく、その勇敢さと正直さによってまさに彼の悲劇はもたらされる。そこに不可避的にアイロニーが生まれる」


「場合によっては、救いがないということもある。しかしながらアイロニーが人を深め、大きくする。それがより高い次元の救いへの入り口になる。そこに普遍的な希望を見いだすこともできる。だからこそギリシャ悲劇は今でも多くの人々に読まれ、芸術のひとつの元型となっているんだ。また繰り返すことになるけれど、世界の万物はメタファーだ。」


第24章 星野青年
大型トラックを運転するのは性に合っていた。機械にかかわること自体がもともと好きだったし、トラックの高い運転席に座って大きなハンドルを握っていると、自分の城にたてこもっているような気持ちになれた。もちろん仕事はきつい。労働時間もむちゃくちゃだ。でも毎朝けちな会社に出勤して、上司に見張られながらけちな仕事をするような生活にはとても耐えられそうにない。

15歳のときには彼は駐車してあるバイクを盗んで無免許で乗りまわしていた。だから他人のことをとやかく言えた義理ではない。もちろんバイクを拝借するのと、父親を刺し殺すのとでは話が違う。とはいえ、自分が何かのなりゆきで父親を刺し殺さずにすんだのは、むしろ幸運なことだったのかもしれないと彼は思う。

そのとき青年を襲った痛みは、道理を超えてすさまじいものだった。頭の中を巨大な閃光が走り、意識がそのまま真っ白になった。息が止まった。高い塔のてっぺんから地獄の奈落に向けて一挙に投げ落とされたような気分だった。悲鳴を上げることさえできない。あまりの痛みに、何を考えることもできなかった。すべての思考が焼けてはじけとび、すべての感覚は痛みの中に集約された。身体の枠組みがいったんばらばらに分解されてしまったような気がした。死でさえもこれほど破壊的でないはずだ。

どうやらあんたこういうのにずいぶん才能があるみたいだ。これを商売にしたら、うんともうかるぜ。そいつは保証するよ。俺の運転手の仲間を紹介するだけでも一財産作れるもんなあ

第25章 大島さん
宙を飛んでいる蝶々の羽をやさしくつまんで捕まえるみたいに、夢の中で言葉をとらえるんだ。芸術家とは、冗長性を回避する資格を持つ人々のことだ

とんでもなく馬鹿げたことは僕もけっして嫌いじゃない

第27章 大島さん
外殻と本質を逆に考えればーつまり外殻を本質だと考え、本質を外殻だと考えるようにすればー僕らの存在の意味みたいなものはひょっとしてもっとわかりやすくなるんじゃないかってね

第27章
彼女の顔や姿は僕にとって、一日いちにちそのたびにとくべつであり、貴重なものなのだ。

第28章 女
「ヘーゲルは〈自己意識〉というもの。規定し、人間はただ単に自己と客体を離ればなれに認識するだけでなく、媒介としての客体に自己を投射することによって、行為的に、自己をより深く理解することができると考えたの。それが自己意識」

カーネル・サンダーズ
「お前もわからんやつだな。啓示というのはそういうものなんだ」

第30章 カーネル・サンダーズ
「いいか、ホシノちゃん。神様ってのは人の意識の中にしか存在しないんだ。とくにこの日本においては、良くも悪くも、神様ってのはあくまで融通無碍なものなんだ。」

「いいか、ホシノちゃん。すべての物体は移動の途中にあるんだ。地球も時間も概念も、愛も生命も信念も、正義も悪も、すべてのものごとは液状的で過渡的なものだ。ひとつの場所にひとつのフォルムで永遠に留まるものはない。宇宙そのものが巨大なクロネコ宅急便なんだ」

第33章 大島さん
「結局のところこの世界では、高くて丈夫な柵をつくる人間が有効に生き残るんだ。それを否定すれば君は荒野に追われることになる」

第34章 星野青年
役に立っているというのはなかなか悪くない気分だ。そんな気持ちになれたのはほとんど生まれて初めてのことだ。
仕事をすっぽかして、こんなところま来ちまって、次から次へわけのわからないことに巻き込まれているけど、俺はこうなったことをべつに後悔しちゃいない。

「人生なんてどう転んでもクソみたいなもんだ」と青年は思った。小さい時はそれを知らなかっただけなのだ。

人ってのは生きるために生まれてくるんじゃないか。そうだろう?それなのに、生きれば生きるほど
俺は中身を失っていって、ただの空っぽな人間になっていったみたいだ。

第36章 カーネル・サンダーズ
「『下手の長考、休むに似たり』という言葉がある」


第39章 田村カフカ
MDウォークマンでレイディオヘッドを聴く。僕は家を出てから、ほとんど同じ音楽ばかり繰り返し聴いている。
レイディオヘッドの『キッドA』と・・・


 

第40章 大島さん 星野青年の音楽には人を変えてしまう力があるかどうかの質問に対して
「何かを経験し、それによって僕らの中で何かが起こります。化学作用のようなものですね。
そしてそのあと僕らは自分自身を点検し、そこにあるすべての目盛りが一段階上にあがっていることを知ります。
自分の世界がひとまわり広がっていることに。」

「そういうものがまったくないとしたら、僕らの人生はおそらく無味乾燥なものです。ベルリオーズは言っています。
もしあなたが『ハムレット』を読まないままじんせいを終えてしまうなら、あなたは炭坑の奥で一生を送ったようなものだって」

第44章 星野青年
彼は居間に行って『大公トリオ』のCDをかけた。
最初の楽章の主題を聴いているときに、療法の目から涙が自然にこぼれ落ちてきた。
とてもたくさんの涙だった。やれやれ、この前に俺が泣いたのはいつのことだっけな、と星野さんは思った。
でも思い出せなかった。

 

以上、個人的に印象に残った文章の数々でした。

あなたにとって心に残っている部分は、どんなところですか?

ぜひ教えてくださいね^^

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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